ダウン症の人たちにダンスを教える教室が沖縄県内にあります。
このダンス教室に通う生徒たちが10月22日に開幕した「美ら島おきなわ文化祭」の大舞台に挑戦しました。
練習に励む講師と生徒の姿を取材しました。
音楽に合わせて元気いっぱいに体を動かす生徒たち。
ダウン症の人々のためのダンススクール「カナデノウツ沖縄」です。
2歳から30代まで、50人ほどが週に2回練習しています。
教室を主宰しているのは久田恵梨香さん。
これまで千人以上のダウン症の人にダンスを教えてきました。
以前はプロの養成を担当していましたが、初めてダウン症の人にレッスンした衝撃は忘れられないといいます。
久田さんは「ダウン症の子たちのレッスンをした時に体当たりで音楽が楽しいっていうのを教えてくれる感じがして、こういう体験はしたことがなかったんですよ。
彼らと一緒に大好きなダンスをやっていきたいと思った」と話してくれました。
久田さんが大切にしているのが、「自分で考え、行動に移す空間」です。
スタジオ内には保護者の立ち入りはできません。
保護者のサポートに頼らず、身の回りの準備は自分で行います。
生徒たちが目指すのは「美ら島おきなわ文化祭」のステージです。
初めて挑戦する振付に、生徒は苦戦。
飲み込むのに時間がかかります。
しかし、何度間違えても受け入れるのが、久田さんの指導法。
それぞれの得意・不得意を把握し生徒が納得し行動できるまで根気強く教えます。
この日は、レッスンが終わる前に保護者にスタジオに入ってもらいました。
練習の成果を見せるのです。
しかし、生徒たちはどこか上の空。
すかさず久田さんが声をかけました。
「ちょっと言っていいですか。お話聞いてよ。本番でステージに立つの誰ですか」
生徒「カナデノウツ」
久田さん「そうですよね、私じゃないですよね。これあり?」
生徒「ダメです」
久田さん「なんでダメか教えて」
生徒「格好悪いから」
久田さん「『カナデノウツでした。ありがとうございました』って言ったら、『あ、終わった』ってやる?どうやるの?」
生徒たちは、最後までかっこよく見せることもダンスの面白さだと気付きました。
久田さん「ああ、いいねいいね!」
久田さんは「自分で気づいてもらうこと。『こうしてほしいんだけど、なんでそれをしてほしいか分かりますか』って聞くんです。理由を付けて同じことを何度も言って、みんなで理解してもらって、ステージに立つのはみんななので、私が言ったからやってるよりはみんながやりたいからこうしてるっていう風にしたい」と話します。
自分の殻を破ることができた生徒もいます。
吉田ひなたさん、19歳です。
小学生の頃から10年以上、レッスンに通っています。
話すことが苦手で、始めは人前に立つことも出来ませんでした。
久田さんは、ひなたさんが話したいと思う瞬間を時間をかけて待ちました。
徐々に自らコミュニケーションを図るようになり、今では教室を引っ張っていく存在です。
ひなたさんは
「私にとってカナデノウツはできるようになるところと思います。
最初は緊張とかあったんだけど、色んなイベントできたのでいいなと思いました」と話しています。
母親のあずささんは当初、不安で一杯だったといいます。
「本当に初めは心配で、迷惑もかかるしとも思ったんですけど、親が手を出さなくてもできたようになるんだなというのをすごく感じて」
そして11月20日、発表当日を迎えました。
多くの観客を前に、生徒たちはのびのびと表現します。
他の団体との合同演目もありました。
ひなたさんも、軽快なステップで堂々と踊ります。
生徒たちの一生懸命な姿に、会場は温かな拍手に包まれました。
久田さんは、レッスンでの経験を日々の生活に活かしてほしいと願っています。
「ちょっと自分が勇気を出して頑張ったらクリアできることがきっとあるから、そこをダンスを通して経験してるから、次はみんなの私生活でもっと強くなれるかなって思います」。
カナデノウツの皆さんは12月3日に沖縄市の県総合運動公園で行われるクリスマスイベントに出演予定だということです。
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