◆公明党への淡い期待
「あれで潮目が変わってしまった」
住民投票条例制定に向けて旗を振ってきたベテラン市議は、13日の市議会総務委員会を振り返る。委員の賛否は3対3の同数となり、委員長裁決で可決したが、結果よりも公明党の委員が反対に回ったことに驚いた。「同党は永住外国人の地方参政権付与に前向きで、住民投票条例案に賛成してくれるか、棄権に回ってくれるはず。条例案は可決される」。賛成派市議らのそんな淡い期待は消し飛んだ。
◆永住か、定住か
「市の提案はタイミングが少し早かった」。市議会公明党の落合勝利代表は、外国人の参加要件などで議論が尽くされていないと話す。全国の他自治体の例を挙げ「永住外国人なら市民の理解を得やすいが、定住外国人は在留期間の幅が広く、何が最適なのか分かりにくい」と指摘する。
「3カ月前に日本に来て、言葉もよく分からない人が市の課題に意見を表明できるのか」「永住外国人や在留資格を3年以上持っている人なら考慮の余地はあるが、日本人と同じ条件にするのは乱暴だ」。自民党系市議らと条例案反対の論陣を張った、同市などを地盤とする長島昭久衆院議員(自民)も街頭演説で外国人の在留期間に言及していた。
武蔵野市によると、常設型の住民投票条例を持つ全国の自治体のうち、外国人にも投票を認めているのは43自治体。このうち小金井市など28自治体は永住外国人に限定。残る13自治体は、永住外国人に加え、中長期の定住外国人に「国内で在留資格を持ってから3年以上」(川崎市)などの要件を付けている。
◆市民への周知、不十分
松下市長に近い賛成派の市議は「外国籍の人も同じ市民で、投票資格に差をつけるべきではないと市長は考え、3カ月以上市内に住む18歳以上の人という設定にした」と明かす。
外国籍の市民も日本人と同等の条件で投票できる条例は、神奈川県逗子市と大阪府豊中市の2自治体。今後の協議で外国人の在留期間が見直しの
2009年に住民投票条例を施行した川崎市は、条例の検討委員会をほぼ月1回のペースで計11回開催。外国人市民代表者会議や高校生との意見交換もする念の入れようだった。武蔵野市が住民投票条例を成立させるのに、越えなければならない壁が多い。
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