19都道府県に発令されていた新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除された。1日から行動制限が段階的に緩和され、停止を求められていた飲食店での酒類提供も久々に再開された。店には待ちわびていた客が足を運び、再会を喜んだ。街では、感染対策に配慮しながら日常生活を取り戻す営みが始まっている。
東京・銀座の「BAR保志 Mons REX」は1日、約2カ月半ぶりに営業を再開した。常連客の我妻洋平さん(46)は「ずっと我慢していた。やっと来ることができた。ここは格別です」と笑顔を見せた。傍らでは、店のオーナーの保志雄一さん(64)が静かに見守っていた。
東京都内では今年に入って、飲食店に通常営業が認められた日はない。保志さんは銀座で6店のバーを経営しており、営業時間短縮や酒類提供停止といった東京都の要請に応じてきた。6店の売り上げが例年の5%程度に落ち込む中、宣言の解除を待った保志さん。「我慢の末に再開できる喜びを実感している。日常のことでも、ありがたく感じる」と語った。
保志さんはバーやスナックなどが加盟する「銀座社交料飲協会」の会長でもある。協会には約1200店舗が加盟していたが、長引くコロナの影響で廃業する店が相次ぎ、加盟店舗数は約950店舗に減った。宣言が解除されても「お客様が銀座に戻ってくるのか」という不安もくすぶる。
同協会は感染対策のガイドラインを策定しており、加盟店への巡回指導を強化する。保志さんは「銀座は安全で安心できる街なんだとアピールできるように取り組んでいきたい」と話している。
サラリーマンが行き交う東京・新橋。焼き鳥店「山しな」には、午後5時の開店時間を過ぎると、会社終わりの常連客らが「お久しぶり」などと言いながら次々と来店してきた。
常連客の男性(50)はキープしていたお酒のボトルを傾けつつ「(宣言期間中は)焼き鳥だけ食べてきたけど、お酒と一緒に楽しめるのはうれしいね」。感染対策のため座席ごとに間仕切りを置き、席数も減らした店。久々のにぎわいに、店長の山科昌彦さん(46)は「お酒を飲めると思って入ってきたお客さんをお断りするのがつらかった。これでようやく当たり前の仕事ができる」と話した。
宣言期間中、店は酒類を提供せず午後8時までの営業を続けた。感染者が激増した8月、店を開けても客が1人だけの日もあった。かつてない苦境の中、必死に耐えて店を守った。
せっかく酒類提供を再開するのにメニューがそろっていないことがないようにと、宣言解除を見越して9月26日ごろから準備を進め、秋酒も用意した。1日の予約も前日には満席になった。山科さんは「ようやくスタートラインに立てた。一日でも早くコロナ前の日常に戻っていけるように願っている」。できる限りの感染対策を徹底し、客の来店を待っている。【木下翔太郎、秋丸生帆】
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