コンクリートと共に人工物の代表のようなアスファルトだが、石油の産地では天然アスファルトが産出される。古代メソポタミアでは6000年前から利用されていた。旧約聖書は、バベルの塔もレンガをアスファルトで固めて積み上げたと記す▲接着剤に使え、防水性もある。日本でも秋田や新潟などで縄文時代から産出され、使われてきた。縄文文化を代表する三内丸山(さんないまるやま)遺跡(青森県)でも秋田産アスファルトが付着した石の矢じりが発見されている▲稲作を伴う弥生時代より遅れた文化という縄文のイメージを変えたのが、同遺跡での大きな木柱の発見だった。弥生期最大といわれる吉野ケ里(よしのがり)遺跡(佐賀県)の楼閣を上回る高さの建造物の跡とされ、大規模な定住集落の存在が明らかになった▲三内丸山遺跡など北海道と北東北の縄文遺跡群がユネスコの世界文化遺産登録にふさわしいと勧告を受けた。7月にも正式登録が決まる。農耕以前の狩猟採集社会にもかかわらず、広葉樹林の豊かな自然環境で、1万年にわたり成熟した社会を維持したと評価された▲交流も広範囲に及んでいた。北海道で秋田産アスファルト、青森で北海道産黒曜石が見つかっている。丸木舟を使い、海の交易が活発に行われていたとみられている▲大規模なストーンサークルである大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)(秋田県)や、亀ケ岡(かめがおか)遺跡(青森県)の遮光器(しゃこうき)土偶からは豊かな精神文化を想像できる。世界遺産登録を機に、縄文の実像がさらに明らかになることに期待したい。
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