河野太郎行政改革・規制改革担当相が25日に行われた内閣府の規制改革推進会議の「投資等ワーキンググループ(WG)」のオンライン会合で、放送を巡る規制改革についての検討スケジュールを示した文化庁に「やる気がないなら担当部署を変える」と迫る一幕があった。河野氏は全省庁に印鑑の廃止の3カ月前倒しを求めるなど改革のスピードを速めており、従来のペースで進む議論にいらだちを募らせたようだ。
内閣府や参加者によると会合では、放送をインターネットで同時配信する際、映像などの使用許諾が別々に求められるため事業者の権利処理の負担が大きく、コンテンツ産業の成長の妨げとも指摘されている問題を巡り、関係省庁や有識者が議論した。
その席上、文化庁の担当者は庁内で検討した際、「タイトなスケジュールで多くを追求し過ぎると虻蜂(あぶはち)取らずになる」などと指摘する意見があったと紹介。著作権などに関する制度自体の改正が必要な点は来年の通常国会に向けて準備する一方、運用面での改善も探る方針を説明した。
それに対し、有識者からは「制度改正を進めるべきだ」「議論の先延ばしに見える」などの異論が噴出。河野氏も「文化庁の方針ではダメだ。国民の利便性を考えていない」と一蹴し「心を入れ替えて、スピード感をもって対応すべきだ」とたたみかけた。
さらに河野氏は、他のWGでの検討も含めて「1回目の節目は10月だ」と述べ、来月中に方向性を示すよう求める考えを表明した。通常は各WGでの結論を同時期にまとめて発表するが、案件ごとに随時結論を出させ、議論を加速させる意向とみられる。【田辺佑介】
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