国家公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕された、前鹿児島県警生活安全部長の勾留理由開示手続き=5日午後4時すぎ、鹿児島簡裁(代表撮影)
山之口裁判官は、生活安全部人身安全・少年課が捜査した霧島署員による被疑事件について、容疑者がその処理経過を印字した書面を生活安全部長在任中に入手し、第三者に郵送して職務上知り得た秘密を漏らしたものと説明した。勾留理由に関しては「罪証隠滅と逃亡の恐れがあるため」とした。
容疑者はまず意見陳述で、トイレに侵入して女性を盗撮したとして逮捕、起訴された巡査部長の事件について言及。枕崎署の捜査車両を使った疑いがあったにもかかわらず、野川本部長が「最後のチャンスをやろう」「泳がせよう」などと言い、本部長の印鑑を捜査指揮簿に押さなかったと主張した。「県民の安全より自己保身を図る組織に絶望した」と話した。
裁判官が述べた容疑内容については、市民の情報をまとめた「巡回連絡簿」を悪用した疑いのある事案が明るみに出ず「不都合な真実を隠蔽しようとする姿勢にさらに失望した」と明かした。南日本新聞の取材では、2023年に男性警察官が、県内の女性に対して携帯電話で性的な内容を含むメッセージを送った可能性がある。
容疑者は「多くの方々に迷惑を掛けて申し訳ない」とし、「県民に再び信頼してもらえる組織に生まれ変わることを、心より願っています」と述べた。
弁護人の永里桂太郎弁護士は意見陳述で、組織を正そうとした行為で、長期間勾留されるのは不当だと主張。「『秘密』とは一般に知られていないことについて相当の利益を有するものを意味する」として、今回は守秘義務違反には当たらないと指摘した。「正義心から起こした事件。非難されるべきは不祥事を隠蔽しようとした組織だ」と訴えた。検察側も出廷したが意見を述べなかった。
県警監察課は「現在捜査中の事件の被疑者の供述内容についてコメントは差し控える」とした。
弁護側は公判後、裁判所に勾留の取り消しを請求した。裁判所は6日以降に認めるかどうか判断を下す。
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