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Sunday, March 3, 2024

週刊地震情報 2024.3.3 千葉県東方沖の地震活動 過去と同様スロースリップ起因 - ウェザーニュース

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2024/03/03 14:29 ウェザーニュース

この1週間で国内で観測された有感地震の回数は、前週に比べるとに多くなりました。

能登半島地震の余震が継続していることに加え、千葉県東方沖で地震が多発したことで増加しています。震度3以上の地震は全国で15回発生しました。(2月26日~3月3日10時の集計)

国内:千葉県東方沖や南部で震度3〜4の地震が頻発

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房総半島周辺の地震

千葉県東方沖では2月26日(月)から地震活動が活発になり、3月2日(土)までに最大震度4が3回、震度3が4回発生するなど、有感地震が多発しています。

一連の地震で最も規模が大きいのは1日(金)5時43分頃に発生したマグニチュード5.3で、千葉県東金市、山武市、大網白里市、埼玉県さいたま市などで最大震度4の揺れを観測しました。地震のメカニズムは北北西ー南南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界付近で発生したとみられます。

震源の範囲は1日(金)以降陸域に拡大し、千葉県いすみ市付近を震央とする地震が増加しました。

房総半島沖でスロースリップが発生

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推定すべり分布(国土地理院)

国土地理院は26日(月)頃から房総半島の電子基準点観測データに通常とは異なる地殻変動(非定常地殻変動)が検出されたと発表しました。この変動は房総半島沖のフィリピン海プレートと陸のプレートの境界面で発生しているスロースリップ(ゆっくりすべり)現象によるものと推定されています。

2月28日(水)までのデータからプレート境界面上のすべりの大きさを計算した結果、房総半島沖では最大約2cmのすべりがあったと推定されます。

房総半島沖では同様の現象が周期的に起きていて、少なくとも1996年、2002年、2007年、2011年、2014年、2018年の6回確認されています。

※スロースリップとは
通常の地震と異なり断層が徐々に破壊されてプレートが時間をかけて動く現象であり、(体感できる)揺れや津波を伴いません。通常、地震の場合は10〜20秒でプレートがズレ動きますが、スロースリップでは数分〜数日かかることもあります。スロースリップは巨大地震との関連性が指摘されており、発生メカニズム解明のための研究対象として注目されています。

震度5弱程度の揺れには注意

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スロースリップ発生時の地震活動

過去にスロースリップが発生した際は年によって少し差があるものの、地震活動が活発になりました。2007年や2018年は特に地震の回数が多く陸域の地震も目立ちます。2007年8月18日のマグニチュード4.8の地震では最大震度5弱の強い揺れを観測しています。

政府の地震調査研究推進本部は一連の地震活動に関して評価を行い、房総半島沖のスロースリップを起因とする地震であるとしています。

過去と同様に1週間から数ヶ月程度活動が継続し、地震の規模や震源の位置によっては震度5弱程度の揺れを伴う可能性があると考えられます。活動エリアに近い地域では強い揺れに対する注意が必要です。

房総半島を含む南関東地域は、プレートの沈み込みによるマグニチュード7クラスの地震が多く発生しています。今回の活動で大きな地震がなかったとしてもリスクの高い地域ですので、改めて地震対策ができているか確認すると良さそうです。

国内:宮崎県で震度4 地震の多くない領域

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宮崎県北部平野部の地震

3月2日(土)23時00分頃、宮崎県北部平野部を震源とするマグニチュード4.3、深さ約10kmと推定される地震が発生しました。この地震で宮崎県延岡市と門川町で最大震度4、日向市、都農町などで震度3を観測しています。

宮崎県北部平野部が震源で震度4以上を観測するのは1919年以降では初めてで、マグニチュード4以上の有感地震でも2013年以来、11年ぶりです。地震のメカニズムは横ずれ型と解析されています。

宮崎県の規模の大きな地震は日向灘に代表されるよう海域で発生するものが多く、陸域の地震も1968年の「えびの地震」に代表される南部内陸の地震が目立ちます。今後も陸域の地震よりは日向灘や南海トラフ巨大地震のリスクの方が大きく、こちらへの備えが重要です。

世界:アラビア海でM5.9の地震

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世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)

アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震はありませんでした。最も大きな規模の地震はアラビア海で発生したマグニチュード5.9です。

日本時間の3月2日(土)未明、アラビア半島の南東のアラビア海でマグニチュード5.9、深さ約6kmと推定される地震が発生しました。地震のメカニズムは横ずれ型と解析されています。

陸地からは少し離れた震源のため、揺れによる影響は出ていません。

今回の震源はアフリカプレートとインドプレートの境界付近で、オーエン断裂帯と呼ばれている領域です。断裂帯は海底の地形が不連続になっている部分で、プレートの移動によって生じた歪によって形成されると考えられています。

オーエン断裂帯周辺ではマグニチュード6クラスの地震が頻繁に起きていて、最近では2019年にマグニチュード6.3が発生しました。

世界:伊豆諸島・八丈島で最大40cmの津波

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地震の規模が大きく、震源が比較的浅かったため津波が発生しています。フィリピンではミンダナオ島のダバオで8cmの潮位変動を観測しました。ダバオは入り組んだ湾の奥に位置しているため、震源に近い沿岸部ではそれよりも大きな津波が到達した可能性があります。

津波は3日(日)の未明に日本まで到達し、伊豆諸島・八丈島で最大40cm、関東から九州、奄美にかけての太平洋側で10〜20cmを観測しました。気象庁は地震の発生後まもなく津波注意報を発表し、3日(日)9時に全ての注意報は解除されました。

フィリピン周辺はフィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込むことで、規模の大きな地震が度々発生しています。先月17日にはミンダナオ島の南でマグニチュード6.7の地震があったばかりです。今回の震源近くに限定しても、1991年にマグニチュード7.0、1989年にマグニチュード7.6の地震がありました。

バングラデシュでM5.5の地震

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また、日本時間の2日(土)の昼頃、バングラデシュの南部を震源とするマグニチュード5.5、深さ約39kmと推定される地震が発生しました。地震のメカニズムは横ずれ型と解析されています。

震源が陸域だったため震央付近ではやや強い揺れとなり、改正メルカリ震度階級のV、厳密には比較ができませんが、日本の震度階級では4に相当するくらいの揺れがあったとみられます。震源は首都ダッカからそれほど離れていなかったものの、揺れが強かった領域は狭く、大きな被害は伝えられていません。

バングラデシュはインドプレートとユーラシアプレートの境界付近に位置しています。マグニチュード6を超えるような地震も時々起きていて、最近では1997年にマグニチュード6.0の地震が発生しました。非常に古い記録では1918年にマグニチュード7.1が発生した記録もあります。

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出典・参考
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。

参考資料など

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