最大震度7を観測した能登半島地震は元日を直撃した。過疎化が進む石川・能登地方にあって、年末年始は、ふるさとで過ごそうと帰省する家族連れらで最も人が多くなる時期で、観光客も加わって想定を上回る避難者が発生。避難所では食料や物資が瞬く間に底をつき、指定避難所に入りきれない人たちが身を寄せる自主的な避難所もできた。逼迫(ひっぱく)した避難所生活では体調悪化なども懸念され、自治体は対応に追われている。
甚大な被害が出た珠洲(すず)市飯田地区で、指定避難所となっている飯田小学校。大阪府八尾市の大学3年、横山琴音さん(20)は5日までここで過ごした。
両親ときょうだいの計5人で先月30日から父親の実家に帰省。公共交通が十分でない能登地方には車で帰省するケースがほとんどで、横山さんらもワゴン車で来ていた。
祖母や親族らとだんらん中に地震に襲われ、全員で同小に避難。家は倒壊し、乗ってきた車も巻き込まれて帰阪できなくなった。恐怖や不安に襲われたが、「おばあちゃんのそばにいて少しでも不安を和らげてあげたい」と代わりの車で帰るまで気丈に振る舞い続けた。
300人弱の受け入れが可能な同小には一時、800人が避難。帰省中の人やインドなど海外からの旅行者もおり、地元以外の人たちが全体の3分の1ほどを占めた。市はそれぞれの避難所に受け入れ人数に応じて1日分の食料や水を備蓄していたが、倍以上の避難者に対応するため給食の食材などを急遽(きゅうきょ)活用したという。
珠洲市によると、地震の際の指定避難所は26カ所。しかし、想定を上回る人で収容しきれず、それ以外の集会場や高齢者施設、シアターミュージアムなどに避難する人も多かった。
こうした自主的な避難所は50カ所以上に上るとみられるが、行政が把握できず支援の網の目からこぼれるリスクもある。市の災害対策本部の職員は「どこに何人避難しているか把握することから始めなければならない。救援物資も迅速に届けたいが、マンパワーが足りず遅れがちになってしまっている」とこぼす。
石川県内では3万人を超える被災者が避難生活を余儀なくされている。県は金沢市や県南部の加賀地方での避難者受け入れに向け調整を始めたが、避難の長期化は避けられない状況だ。
過去の災害では、劣悪な環境下での避難生活で多くの災害関連死が発生したケースもある。防災行政に詳しい関西大の永田尚三教授は、新型コロナウイルスなどの感染症対策を徹底すべきだとしたうえで、帰省者や旅行者らに向け「可能であれば地域住民と別のエリアに区分けしたり、帰宅に向けた交通情報を収集し提供したり、きめ細かな配慮が必要だ」としている。(大森貴弘、宮野佳幸、弓場珠希)
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