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Saturday, December 9, 2023

「科学者はみんな、一生懸命仕事をしているのよ」…不遇の果てに「何百万人もの命を救った」研究者が、母親に伝え ... - 現代ビジネス

ssingkatkata.blogspot.com 「科学者はみんな、一生懸命仕事をしているのよ」…不遇の果てに「何百万人もの命を救った」研究者が、母親に伝えた「真実の一言」(青野 由利) | ブルーバックス | 講談社(1/4)

今日、12月10日はノーベル賞授賞式が執り行われる日です。

今年の生理学・医学賞は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチン開発の実現に貢献した2人の科学者に贈られます。

そのお一人、カタリン・カリコさんについては、研究成果がなかなか認められず、長年にわたって多くの苦労を耐え忍んできたことが知られています。しかし、彼らの成果が世に出るにあたって、日本人研究者のバックアップが存在したことを知る人は多くないのではないでしょうか。

講談社科学出版賞の受賞歴をお持ちの科学ジャーナリスト・青野由利さんに、輝かしい受賞の影に隠れた逸話を紹介していただきます!

「今年はあなたじゃないかしら」

今日12月10日、ハンガリー出身の生化学者カタリン・カリコさんと米国の免疫学者ドリュー・ワイスマンさんがノーベル生理学・医学賞を受賞する。すでにたくさんの賞を受賞している彼らにとっても、ノーベル賞は格別だろう。

2018年に89歳で亡くなったカリコさんの母親は、毎年ノーベル賞の季節になると「今年はあなたじゃないかしら」と言っていたという。残念ながら2人が喜びを分かち合うことはかなわなかったが、68歳のカリコさんが歩んだ困難な道と不屈の精神を思い、あらためて最大級の「おめでとう」を言いたい。

同時に、カリコさんらの研究人生を振り返り、権威ある論文誌に門前払いされた彼らの研究の重要性を当初から認めていた日本人研究者の「目利き」ぶりについても紹介したい。

気さくで親切な科学者

私が最初にカリコさんに取材を試みたのは、2021年1月のことだ。

日本ではまだ、ほとんど注目されていない時期だったが、新型コロナウイルス感染症に対する「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」の生みの親として、多くの海外メディアが取り上げていた。

いったいどんな人物なのか。ともかく本人に訊ねてみようとメールを送ると、返事はすぐにきた。

印象は、誰にでも分けへだてなく接する、気さくで親切な科学者というものだ。基本的な質問に丁寧に答えてくれたうえ、必要なら写真はここからどうぞ、とリンク先も送ってくれた。

【写真】カタリン・カリコ氏カタリン・カリコ氏 photo by gettyimages

誰も認めてくれなかった「研究の重要性」

科学的重要性についてはもちろんだが、このとき、私が確かめたかったのは、長年、研究の重要性を誰も認めてくれなかったという話だ。

大発見の裏にはよくある話だが、カリコさんの場合はあまりに過酷な道のりと思えたからだ。

母国ハンガリーから、幼い娘のぬいぐるみに全財産をしのばせて米国に渡ったのが1985年。mRNAを治療に利用する道を模索し、当初はテンプル大学、次にペンシルベニア大学で研究を続けていたが、何度申請しても研究資金が得られない。協力してくれた研究者も、次々と別の場所へ移っていく。

大学を去るか、降格かーー。1995年に大学から選択を迫られたカリコさんは、甘んじて降格を受け入れ、教授職への道を閉ざされたまま研究を続ける。

そうしたなか、1997年に大学の共用コピー機の前で出会ったのが、新任の免疫学者ワイスマンさんだった。ワイスマンさんはエイズのワクチン作りを目指し、mRNAの可能性を試したいと考えていた。

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