岸田文雄首相は1日、脱炭素に向けて国内で「排出削減対策の講じられていない」新規の石炭火力発電所の建設を終了する方針を示した。アラブ首長国連邦のドバイで開催されている国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で表明した。
温室効果ガス削減目標の進捗(しんちょく)を検証する位置づけでもある同会議で、岸田首相は石炭火力発電の削減について「各国の事情に応じたそれぞれのネット・ゼロへの道筋の中で取り組まれるべき」だと主張。日本は自身の道筋に沿って、エネルギーの安定供給を確保しながら対応を進めるとした。
日本では2011年の福島第一原子力発電所事故を受けて各地の原発が停止し、世界で火力発電廃止の動きが進む中で、逆に依存を強めた。岸田首相はこのうち、二酸化炭素(CО2)排出量の多い石炭火力は条件付きで増やさない方針を明確にすることで、国際社会に理解を求める狙いがある。
岸田首相は演説で、日本は30年度までの46%減に向け挑戦を続けていると述べ、温暖化への取り組みを着実に進めているとも説明した。
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経済産業省の 資料によると、日本では23年から24年にかけ3基の石炭火力発電所の運転を開始する計画があり、政府関係者は首相の発言が建設中の発電所に影響することはないと記者団に語った。
日本政府は発電時のCO2排出量がゼロの水素やアンモニアを利用して発電することで脱炭素を図る方針も示しているが、石炭と混ぜて燃やす「混焼」を前提としていることなどから、この取り組みは化石燃料産業を温存する政策だとする 批判も根強い。
ブルームバーグと気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク( NGFS)がまとめたデータによると、日本の現状は50年までのネットゼロ達成に向け30年までに必要とされる軌道から主要7カ国(G7)の中で最も離れている。
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15年の パリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べてセ氏1.5度以内に抑える目標が掲げられている。12月12日まで開かれる同会議では、同目標に向けた世界全体の進捗状況を評価するグローバル・ストックテイク(GST)が初めて行われる。結果に基づき、各国は自国の削減目標の更新などの取り組み強化が求められる。
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