40歳を目前にして会社を辞め、一生懸命生きることをやめた韓国人著者のエッセイが、日韓で累計40万部のベストセラーとなっている。その本のタイトルは、『あやうく一生懸命生きるところだった』。「日本タイトルだけ大賞」で大賞を受賞したインパクトあるタイトルに加え、その内容にも「心が軽くなった」「読んで救われた」「人生のモヤモヤが晴れた」と共感・絶賛の声が相次いでいる。今回は本書から、「やる気」について触れた項目の一部を紹介していく。(こちらは2020年1月6日付け記事を再構成したものです)
強要されて絞り出すモチベーションは長続きしない
「自分の仕事にやる気が持てなくて、心配です」
インターネットの悩み相談でよく見かける文句だが、よく考えてみてほしい。この悩みはちょっとおかしい。これはつまり、好きでもない人を目の前にして「私、どうしてあなたのことを愛せないのかしら?」と悩むようなものだ。
どんなに努力したって、愛せない時点でその人は恋愛対象じゃない。
仕事だって同じだと思う。やる気の根底には愛情がある。やりたくないなら当然やる気も起きない。やる気コンテンツに触れて、瞬間的に意欲が湧いても長続きはしない。それに、ムリにやる気を作り出すときは、たいてい自分以外の誰かが望む仕事であるケースがほとんどだ。
やる気とは自ら作り出すものであり、誰かに強要されて作り出すものでは絶対にない。やる気は愛だ。その仕事を愛することからやる気は始まる。もちろん愛そうと努力した結果、好きになることもまれにあるが、あまりおすすめしたくはない。
そもそも、やる気がなくたってかまわないだろう。やる気がなくても十分働ける。好きでやる仕事もある一方、ほとんどはお金を稼ぐためにある。労働の対価としてお金を受け取っているのだ。それなのに、やる気まで要求されるなんて、会社はちょっとほしがりすぎじゃないか。
湧き出しもしないやる気をムリに作り出すこと自体がストレスだ。ないならないなりに、目の前の仕事をこなせばいい。そのうち好きになってくるかもしれないし、ほかにやる気を出せる仕事が見つかるかもしれない。そのときに、やる気を注ぎ込めばいい。
やる気はすり減る
とはいえ、やる気とはいいものだ。自分のために使うならば。だから自分が何かに熱中しているときは、その気持ちは自分のためなのか、それとも他人のためなのかをよく考えてみる必要がある。
知る限りでは、やる気とはそれほど頻繁に生まれるものでも、持続可能なものでもない。やる気はすり減る。だから、むやみに使うと本当に必要なときに使えなくなる。やる気を絞り出し、むやみに使ってはいけない理由はそこにある。
いつかはやる気を注ぎたくなる仕事に出合えるはずだし、そのときのために自分のやる気を大切にしよう。やる気がないだの、あるだのという言葉には決して踊らされないように。自分のやる気は自分がコントロールしよう。
(本原稿は、ハ・ワン著、岡崎暢子訳『あやうく一生懸命生きるところだった』からの抜粋です)
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ハ・ワン
イラストレーター、作家
1ウォンでも多く稼ぎたいと、会社勤めとイラストレーターのダブルワークに奔走していたある日、「こんなに一生懸命生きているのに、自分の人生はなんでこうも冴えないんだ」と、やりきれない気持ちが限界に達し、40歳を目前にして何のプランもないまま会社を辞める。フリーのイラストレーターとなったが、仕事のオファーはなく、さらには絵を描くこと自体それほど好きでもないという決定的な事実に気づく。以降、ごろごろしてはビールを飲むことだけが日課になった。特技は、何かと言い訳をつけて仕事を断ること、貯金の食い潰し、昼ビール堪能など。書籍へのイラスト提供や、自作の絵本も1冊あるが、詳細は公表していない。自身初のエッセイ『あやうく一生懸命生きるところだった』が韓国で25万部、日本でも13万部超のベストセラーに。
からの記事と詳細 ( 一生懸命生きることをやめた僕が「仕事にやる気がわかない人」に伝えたいこと【書籍オンライン編集部セレクション】 - ダイヤモンド・オンライン )
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