若年層向け依存症啓発動画
依存症は、多くの人に関連する身近な病気の1つですが、誤解や偏見が多いという特徴があります。
そこで、依存症について正しく知り、ご自身の予防や周囲の方への理解を促すため、啓発動画を制作しました。
動画の解説
依存症になる人は意志が弱い、だらしないといった認識は誤りです。依存症になりやすい性格というものはありません。一方で、真面目で完璧主義な人や周囲に相談して解決するのがあまり得意でない場合、悩みや生きづらさから逃れるために依存対象を使用しやすいことがあるかもしれません。
動画のノゾミ(主人公)は、以下のようなタイプでした。
- 真面目で責任感も強く、両親からの期待にも応えようと、部活にも勉強にも意欲のある生徒
- ときには無理をしすぎて、疲れてしまうこともある
- 自分だけで解決しようとして、疲れや悩みを気軽に打ち明けることができず、抱え込んでしまいがち
エナジードリンク(依存対象)の効能
エナジードリンクには、コーヒーなどと同様にカフェインが多く含まれているため、一時的に眠気がとれたり、頭がスッキリして集中しやすくなったりする効果があります。ノゾミは、以下のようなことがきっかけでエナジードリンクを飲み始めました。
- 何でも一生懸命な頑張り屋で、疲れた気持ちをなかなか打ち明けられないときに、エナジードリンクを飲んでもう少し頑張ってみることにした
- 飲み始めた当初は、エナジードリンクの効能で、集中して勉強や部活をすることができた
エナジードリンク(依存対象)の副作用
カフェインが体内からなくなると、溜まっていた疲労が一気に押し寄せます。また、日常的にエナジードリンクを飲むと、脳がエナジードリンクの効果を強く記憶し、日々の様々な場面でエナジードリンクを飲むよう指示するため、意志とは関係なく反復して飲む癖がつきます(習慣化)。また、次第に身体が効果に慣れてくるため、同じ効果を得るために、だんだん量や頻度が増します(耐性)。
習慣が影響するため、本人も気付かないうちに依存していくことが依存症の特徴です。また、外見ではわかりづらいため、周囲の人も気付きにくいことも特徴です。
カフェインを日常的に飲んでいると、疲労感に襲われる、睡眠が不安定になるなどの健康問題が出てきます。また、やめようとしたり量を減らそうとすると、イライラしたりうまく集中できなくなることがあり、結果として、人間関係がうまくいかなくなることもあります。ノゾミは、だんだんと以下のような問題が起きていきました。
- 最初は頑張りたいときだけエナジードリンクを飲んでいたが、段々と習慣化し、頻度も増えていった(依存症の状態(=イゾンくんが近づく))。
- 睡眠が不安定になる(眠りたいときに眠れない。眠ってはいけないときに眠くなってしまう)。感情も不安定になり、友達との衝突が増え、結果的に関係が悪化してしまった。
依存症の進行・移行
依存状態が進行すると、エナジードリンクでは十分な効果が得られず、より効果を求めて市販のカフェイン錠剤や別の覚醒作用のある市販薬を多量に服用してしまうこともあります。
また、飲むのをやめて身体からカフェイン(依存対象)がなくなったときに、離脱症状(過眠、イライラ、集中困難など)が起きることがあります。このような症状を緩和するために、やめたいと思っていても身体を楽にするためにまた飲んでしまい、やめられない状態が続き、症状が悪化します。
さらに、やめたいと思ってエナジードリンクを飲むのを我慢しても、原因である悩みなどが解消されないと、別の依存対象(薬物、ゲームなど)に依存してしまうこともあります。
依存症の予防
依存症を予防するには、依存対象を使用しないことが1つですが、エナジードリンクや市販薬は適切に使用すれば問題ありません。
ノゾミは、知らず知らずのうちに自分や周囲の期待に応えるために、必要以上に頑張ってしまい、自分の中の葛藤やそれを打ち明けられないもどかしさを感じていたかもしれません。そして、それを解決するために徐々にエナジードリンクに頼ってしまいました。
学校生活、家庭生活、人間関係などにより、しんどい、だるい、眠れないなどの気持ちを感じたら、身近な友達、家族、先生などに相談してみましょう。また、楽しめる趣味や健康的にストレス発散できる楽しみも見つけましょう。
こころやからだの不調に関する相談は、以下の場所でも相談できます。
若年層(主に10代)が気を付ける依存症
エナジードリンク(カフェイン)
エナジードリンクに含まれるカフェインには依存性があり、習慣化し、量や頻度が増えると副作用により、体調や日常生活、人間関係に支障をきたすことがあります。
1日に摂取するカフェインの量は、健康的な成人で400mgまでとされています。一方で、13歳以上の青少年は、1日あたり2.5mg/kg体重(体重60㎏の人の場合、150mg)までとされています1。
メーカーにより異なりますが、エナジードリンクには1本あたり約35~150mgのカフェインが含まれています。
受験勉強など、エナジードリンクを飲んで頑張りたいときもあるかもしれませんが、睡眠や食事により休養をしっかりとることを中心に考え、エナジードリンクを飲む際は、飲む量や頻度に本人や周囲の人が注意することが必要です。
1 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~(厚生労働省ホームページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html(外部サイト)
市販薬・処方薬
薬物依存と聞くと、覚せい剤や大麻などを想像するかもしれませんが、薬局やドラッグストアなどで販売されている市販薬や病院で医師から処方される薬(処方薬)も依存症のリスクがあります。市販薬・処方薬の依存は10代を中心に急増しており、近年問題となっています。
市販薬や処方薬の中には、エナジードリンクと同様に、元気になったり、反対に気持ちを落ち着かせてくれたりする成分が入っている薬もあります。違法性がないため、気軽に服用してしまいがちですが、必ず定められた用法・用量を守ることが大切です。
特に、市販薬では症状が改善しなかったり、量や頻度が増えてしまっていると感じたら早めに使用を中止して、医療機関に受診しましょう。
ゲーム(オンラインゲーム)
ゲームによる依存(ゲーム障害・ゲーム依存)は近年新たに認められた依存症です。中でもインターネットを介したオンラインゲームは問題になりやすいと言われています。
オンラインゲームは、コンテンツがアップロードされ続けゲームに終わりがないことやユーザーを飽きさせないストーリーや仕組みが取り入れられていること、ガチャ課金システムなどのギャンブル性の高さなどが問題になりやすい要因です。また、オンラインゲームは、別の場所にいるユーザーと一緒にゲームをしたり、チャットしたりするなど、コミュニティができやすいことも特徴です。
このように、ゲームは現実生活にはない快感、ワクワク感、非日常感、人とのつながりを簡単に得られるため、現実生活での不安やストレス軽減手段、現実生活からの一時避難として使われることがあります。
まずは、現在のゲームの魅力やリスクを知り、ゲームをする際には、事前にルールを決め、ゲーム以外の楽しみももつことがリスクの低減につながります。
20歳になってから気を付ける依存症
20歳になるとお酒を飲んだり、ギャンブルをすることもあるかもしれません。紹介した依存対象以外にもさまざまな依存対象があります。以下の内容をご覧いただき、自身のからだもこころも健康に気を付けて過ごしましょう。
からの記事と詳細 ( 若年層に関する依存症の知識と予防 - yokohama.lg.jp )
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