東京都文京区の自宅で2016年、妻を絞殺したとして殺人罪に問われた講談社元社員、朴鐘顕(パクチョンヒョン)被告(47)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は21日、懲役11年とした2審・東京高裁判決(21年1月)を破棄し、審理を高裁に差し戻した。「妻は自殺した」とする弁護側の主張について審理が不十分だと判断した。
朴被告は16年8月に自宅で妻佳菜子さん(当時38歳)の首を絞めて窒息死させたとして、17年1月に東京地検に起訴された。妻は1階の階段下で倒れた状態で亡くなっていたが、裁判員裁判で審理された1審・東京地裁判決(19年3月)は、1階の寝室に妻の失禁の痕や唾液混じりの血痕が残されていたことなどから、被告が妻を寝室で殺害し階段の下に移動させたと推認できるとした。2審もおおむね1審を支持し、弁護側の控訴を棄却していた。
弁護側は上告審で「2審は、争点化されていなかった血痕の有無などの客観証拠について誤った評価をして自殺の可能性を不当に排斥した。他殺であれば説明できない証拠が多数あり、無罪判決を言い渡すべきだ」と主張。検察側は「被告が妻を殺害したことに疑問の余地はない」として弁護側の上告を棄却するよう求めていた。【遠山和宏】
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