被災地の「同級生」を思い、花びらにメッセージを書いた桜が、東京都多摩市の公民館で満開を迎えている。福島県浪江町の小学校と交流してきた市内の小中学生が、ピンク色の紙片にびっしりと言葉を記した。
「『なみえっ子カルタ』を実際にやってみたいし、『なみえ焼きそば』も食べてみたい。『んだげんちょ』も、また踊りたい」
多摩市立多摩中学校1年の中村仁奈子さん(13)は2年前、通っていた多摩第一小学校で福島の同級生と一緒に踊った経験を思い出し、メッセージを書いた。浪江町立津島小の最後の卒業生となった須藤嘉人さんと交流し、「遠い地域」だった東北の震災を「自分のこととして考えられるようになった」という。
11年前の東日本大震災は、保育所にいたことしか記憶にない。交流を通じ、友達が少なくなる被災地の現実を知った。一生懸命練習した「んだげんちょ」が、うまく踊れた達成感も忘れられないという。
メッセージ花びらの企画は、被災地支援を続ける地元の京王線聖蹟桜ケ丘駅周辺の商店主らが呼びかけた。中学生になっても被災地のことを考えたいと思っていた中村さんら一小出身の5人は、多摩中の1年生の各クラスを回り、須藤さんとの思い出を説明した。交流を体験していない人も多い中、137人全員がメッセージを書いてくれた。「みんな真剣に書いてくれた」と中村さん。
一小出身の小野田楓蓮(かれん)さん(13)は「どんな未来が来るか、思うだけでわくわくしちゃう! そんな日常をつくれるように私たちも精いっぱい生きていきます」とつづった。震災は、机の下に猫と逃げ込んだおぼろげな記憶しかないが、須藤さんとの交流で気づかされたことが多かったという。「大変な思いをした人たちがいて、一生懸命生きている。前向きにいこうという思いをこめた」
メッセージは一小の5年生112人も寄せた。被災地との交流活動はしていないが、「被災地のことを考え、先輩たちの活動をつないでいく」(岡芳弘校長)という。平野順奈さん(11)は「避難訓練をしっかりやる」などと書いた。「震災はいつ来るかわからないから、まじめにやります」と話した。
桜の展示は31日まで。聖蹟桜ケ丘駅そばの関戸公民館の7階。交流の様子を写真などで紹介している。(前川浩之)
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