岸田首相は4日、三重県伊勢市で年頭記者会見に臨み、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」対策で感染者全員を入院させる運用を見直すと表明した。市中感染の拡大により、医療施設が
首相は「国内における予防、検査、早期治療の枠組みを一層強化し、オミクロン対策の重点を国内対策へ移す準備を始める」と述べた。
オミクロン株の感染者は入院、濃厚接触者は宿泊施設での待機が原則だったが、専門家有志が重症度に応じて入院するかどうかを判断すべきだと政府に提案していた。首相は「自治体の判断で、症状に応じて宿泊、自宅療養を活用し、医療の逼迫を招かないようにする」と説明した。病床逼迫が見込まれる場合には、行動制限の強化も検討するとした。
首相は、米ファイザーが開発した飲み薬について、今月中に購入に向けて最終合意するとの見通しを示し、「2月中のできるだけ早くの実用化を目指す」と語った。診断の翌日までに飲み薬を投与できる体制を確立する方針も示した。
3回目のワクチン接種については、全国で未使用となっている900万回分のワクチンも活用し、「高齢者接種のさらなる前倒しを行う」と表明した。
外国人の新規入国を原則停止している水際対策の継続の是非を来週に判断する考えも示した。
国内外の感染状況などを考慮し、政府内で検討していた米国やオーストラリアへの訪問について、17日召集の通常国会前は行わないと明らかにした。
一方、首相は経済政策について、自身が掲げる「新しい資本主義の実現へ大胆な挑戦をする」と宣言。今年を「スタートアップ(新興企業)創出元年」と位置づけ、5か年計画を策定する方針を表明した。官民のデジタル投資を倍増させる考えも示した。
気候変動問題に対応するため、温室効果ガスの排出量をお金に換算し、企業などに負担させる「カーボンプライシング」を「最大限活用する」と明言した。
◆首相記者会見のポイント
▽「オミクロン株」の陽性者全員入院を見直し、宿泊・自宅療養も活用
▽感染拡大時は行動制限も検討
▽米ファイザーの飲み薬は2月に実用化
▽高齢者の3回目ワクチン接種の前倒し
▽水際対策の継続是非は来週判断
▽通常国会開会前の外遊は行わず
◆岸田首相の4日の記者会見要旨は次の通り。
■ 冒頭発言
【 新型コロナ対策 】
新たな変異株「オミクロン株」の市中感染が急速に拡大するという最悪の事態に備えるため、水際対策の骨格は維持しつつ、国内における予防、検査、早期治療の枠組みを一層強化し、対策の重点を国内対策へ移す準備を始める。
【 ワクチン 】
3回目接種は、めどが立った自治体で900万回分の未使用のワクチンも活用し、高齢者接種のさらなる前倒しを行う。
【 飲み薬 】
米ファイザーの経口薬(飲み薬)について、同社と今月中に購入に関する最終合意をし、2月中のできるだけ早くの実用化を目指す。診断の翌日までに経口薬を投与できる体制を確立する。
【 患者対応 】
自治体の判断で、陽性者を全員入院、濃厚接触者を全員宿泊施設待機としている現在の取り組みを見直し、症状に応じて宿泊、自宅療養も活用し、医療の逼迫(ひっぱく)を招かないようにする。
【 経済・環境 】
本年をスタートアップ(新興企業)創出元年とし、5か年計画を策定する。公共調達の大胆な開放、海外展開への徹底支援、株式公開制度の見直しなどに取り組む。すべての挑戦者を官民挙げて全面的にサポートする。官民のデジタル投資を倍増する。カーボンプライシング(炭素の価格化)を最大限活用する。
【 外交 】
国内のコロナ対策に万全を期すため、今月の通常国会開会前の外遊は行わない。
■ 質疑
――水際対策は延長するのか、緩和するのか。
3連休明けの来週、年末年始の状況を見極めて判断したい。
――行動制限の強化は。
感染再拡大で病床の逼迫が見込まれる場合は、機動的に考えなければならない。
からの記事と詳細 ( オミクロン株「感染者全員の入院」を見直し…首相「自治体判断で宿泊・自宅療養も」 - 読売新聞 )
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