一生懸命は、日常生活はもちろん、履歴書の自己PR欄やビジネスシーンにおいてもよく使われます。しかし使い慣れている分、その語源や本来の意味を知らない方も多いのではないでしょうか。
一生懸命の語源は何なのか、またそこからどのように派生していったのか深く理解することで、コミュニケーションもより円滑なものへ変わってきます。本稿では、一生懸命の正しい意味や類語、一所懸命との違いについて紹介します。
一生懸命の意味とは
一生懸命とは、命をかけて物事に取り組むさまを指す四字熟語です。本気で何かに打ち込んでいるときやこれから頑張ろうというときに用いられます。「一所懸命」から派生した言葉で、読みは「いっしょうけんめい」です。英語では、""as well as one can""や、""hard""などと表現します。
<例文>
- お客様のご期待に添えるよう、一生懸命頑張ります
- 一生懸命努力して、成績を上げてみせます
一生懸命の由来
一所懸命の「一所」は、中世の武士が賜った「一カ所」の領地、つまり土地を意味します。その先祖代々の土地を武士が命がけで守ったことから生まれた言葉が一所懸命で、一生懸命の由来とされています。近世になると「物事を命がけでやる」という意味に変わり、「一所」が「一生」と間違われたことから読み方も「いっしょう」となり広まりました。
一生懸命と一所懸命の違い
一生懸命と一所懸命はどちらも同じ意味を表しています。しかし上述した通り、一生懸命は物事に対して全力に取り組むさまであるのに対し、一所懸命の「一所」は「一カ所」を表します。そのため、ひとつのことに力を尽くすというようなニュアンスにも取れ、違いがあるのです。読み方も「いっしょけんめい」なので、注意しましょう。
歌舞伎では一所懸命が使われる
現在では一生懸命の方が一般的ですが、歌舞伎においては、一所懸命が使われることがあります。それは、歌舞伎では基本的に古語を使用することや、代々伝わる屋号(一所)を命がけで守るという意味を持つことから、一所懸命を使うようです。
ビジネスシーンにおける一生懸命の使い方
一生懸命をビジネスシーンで使用する際は、新しいプロジェクトが始まるときや、大きな役割を任されたときなど、全力で取り組もうとするときに使いましょう。相手に自分の思いを伝える際に効果的です。
<例文>
- 社運をかけたこのプロジェクトを、一生懸命に取り組む
- 御社のご期待に添えるよう、一生懸命に力を尽くす所存です
一生懸命の類語・言い換え
一生懸命にはいくつかの類語があり、言い換えが可能です。シーンによって適切に使い分けられれば、文章に起こす際や相手との会話において、自分の思いをより明確に表現でき、伝わり方も変わってくるため覚えておきましょう。
真面目
真面目とは、「嘘やいい加減ではなく、真剣な様子」を表す言葉で、「真心や誠意がある」という意味もあります。一生懸命のように「命がけ」というニュアンスが込められていないため、言い換えには注意しましょう。
<例文>
- 真面目に仕事に取り組んだ結果、高評価を得られた
- 大事なことは、お客様の話に真面目に耳を傾けることだ
熱心
熱心は、「物事に心を打ちこんでいる様子」を表します。一生懸命は「行動」を表す言葉であり、熱心は「心がけ」に対して使う言葉です。
<例文>
- 先方は、当社の話を熱心に聞いて下さった
- 自分のスキルアップのためにも、様々なセミナーに熱心に参加している
一途
一途(いちず)は、「他のことを考えず、ひとつのことに打ち込む様子」を表します。他のことは目に入らないほど集中している際に使う言葉です。一途は行動だけでなく、心に対しても使える言葉でもあるため多様な場面で使えます。
<例文>
- こちらのお客様は、数ある中から当社を一途にご利用いただいている
- 原因を一途に追及した結果、解決できた
一心不乱
一心不乱は、「ひとつのことに心を集中して打ち込む様子」を表します。意味合いは一途と似ていますが、一心不乱には「必死に物事に取り組んでいる」というニュアンスが込められています。
<例文>
- 顧客数を獲得するため、一心不乱に営業に打ち込む
- 一心不乱に努力した結果、苦手を克服できた
一所懸命
上述したとおり、一生懸命と一所懸命は同じ意味を持つ言葉ですが、言葉の由来をたどれば、一所懸命はビジネスの場で避けた方が無難でしょう。
仮に、代々続く店や会社の跡取りとなる人が使うのであれば、ひとつのものを守り抜くという意気込みを感じられるので最適です。
<例文>
- 200年続いたこの店を一所懸命守っていく所存です
- 父から受け継いだこの会社をますます発展させるべく、一所懸命がんばります
一生懸命な人の特徴とメリット
一生懸命は、例えばビジネスシーンにおいて、「一生懸命な人」など人の特徴を表す言葉としても使われます。その特徴には、「努力家」「責任感がある」「向上心がある」といったものが多く見受けられ、一生懸命な姿はプラスイメージとして評価されることが多いようです。
しかし、どれだけ一生懸命であっても成果が伴わない場合は「要領が悪い」と思われてしまうかもしれません。懸命に働く姿勢をアピールしながらも、確実に仕事をこなせることが肝心です。
一生懸命であるメリットは
一生懸命な印象を受ける人は「仕事を任せたい」と信頼を得やすいです。たとえば取引先からも、「この人なら契約したい」「一緒に仕事をしたい」と思ってもらいやすいでしょう。それに対して、何をしても中途半端で、手を抜いている人はこれには当てはまりません。ビジネスの上で、一生懸命仕事に取組み信頼を得ることはとても重要です。
時には失敗することがあっても物事に対して真剣に向き合い、最後まで責任を持ってやり遂げることで、自分にも自信がつき、良い結果へと繋がるでしょう。
まとめ
一生懸命は、一所懸命が由来であり、時代とともに意味や使い方が変化して成り立った言葉であると説明しました。
この言葉は、他にも「誠心誠意」「精一杯」などに言い換えができます。言葉が持つ本来の意味や由来を知り、シーンに合わせて使い分けて、ビジネスで活用しましょう。
からの記事と詳細 ( 「一生懸命」と「一所懸命」の違い - ビジネスシーンで使うなら? - マイナビニュース )
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