大阪、京都、兵庫の3府県では緊急事態宣言が2月28日をもって解除されたことを受け、医療関係者は新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、病床が逼迫(ひっぱく)しないかと不安を募らせている。人の移動が盛んになる年度替わりを控え、感染力が強いとされる変異したウイルスなど懸念材料は多く、「第4波」を警戒する声が出ている。 【写真】コロナが生んだ風景
病床使用率はピーク時に、兵庫県が79・5%(1月20日)、大阪府が75・9%(1月18日)に達したが、現在は3府県ともに20~30%台まで下がっている。しかし、医療現場の緊張感は変わっておらず、感染の再拡大への危機感が強い。
「重症者がようやく減ってきたばかり。解除は早すぎる」。重症用に18床を設ける兵庫医科大病院(兵庫県西宮市)の竹末芳生・感染制御部長は厳しい口調で語る。2月26日時点でコロナ患者11人の治療を続ける。「今、行動が緩むと一気に元に戻り、宣言の効果が短期間で終わってしまう恐れがある。変異ウイルスの広がりも心配だ」と訴える。
神戸市では1月下旬、コロナ用にすぐ使える160床の運用率が99%と危機的な状況に陥った。市立医療センター中央市民病院では、昨年11月に開設した臨時病棟(36床)などコロナ用の46床全てが埋まった。入院患者は10人台に減ったが、小林謙作総務課長は「新規感染者を徹底的に減らしてほしい。第4波が4月に来るのではと恐れている」と話す。
大阪市立総合医療センターでは、現在も十数人の重症者などを受け入れる。白野倫徳(みちのり)・感染症内科医長は「1月上旬には連日、複数の重症者が運ばれてきたが、今は2日に1人程度になった。一般の救急搬送の受け入れを断るケースも減ってきたが、入院患者数はまだ高い水準だ」と語る。
第3波では、京都府などで自宅で待機していた感染者が亡くなるような事例が起きた。重症用など10床を確保する京都府立医科大病院(京都市)の夜久(やく)均病院長は「第3波では医療崩壊に近い状況になった。再び病床が逼迫しないよう、行政側は感染拡大の動きを早期に察知し、行動規制などで感染を抑えてほしい」と話している。
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