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Saturday, December 5, 2020

病床フル稼働「マンパワーぎりぎり」…大阪の病院、迫られる厳しい選択 - 読売新聞

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 新型コロナウイルスの感染が急拡大し、「医療非常事態」が3日に宣言された大阪府では、病院の医師や看護師らの懸命な対応が続いている。病床はフル稼働に近く、府や医療関係者らは「医療崩壊を防ぐためにも、不要不急の外出は控えて」と、市民に感染予防への協力を呼びかけている。(川崎陽子)

 「病床に余裕はなく、マンパワーもぎりぎりだ」

 新型コロナの重症者を受け入れる近畿大病院(大阪府大阪狭山市)の東田有智とうだゆうぢ病院長(67)は現状に危機感を募らせる。重症病床10床は、この1週間満床。午前中に空いても午後には埋まる状況だ。

 府内の重症病床206床の使用率は5日現在、64・1%とかつてない高水準だ。206床には、別の病気で入院中の患者の転院を待っているものも含まれ、実際は80%超が埋まっている。

 近大病院には府から増床の打診がある。だが、命に関わる患者を受け入れる、府南東部唯一の3次救急医療機関という役割があり、「コロナ患者以外の命を守る責任もある」(東田病院長)と厳しい選択を迫られている。

 同病院では通常、患者7人に看護師1人の診療態勢をとっているが、新型コロナ患者の重症病床では細やかな呼吸管理が必要で、患者1人に看護師2人を配置。呼吸器内科医3人と看護師約30人が交代で勤務するものの、人繰りは厳しく、帰宅せずに近くの宿泊施設から通うスタッフもいる。

 東田病院長は「市民一人一人が今の状況を人ごとと思わず、不要不急の外出はやめ、マスクの着用と手洗いをしてほしい」と訴える。

 5月から新型コロナの中等症患者の専門病院として稼働する大阪市の市立十三市民病院では看護師ら20人以上が退職し、病床を90床から60床に縮小するなど、軽症・中等症を受け入れる病院も厳しい状況だ。

 蓄積された経験や拡充された設備によって状況が改善されている面もある。

 軽症・中等症を受け入れる大阪府南部にある病院の「コロナ病棟」では今春、外部へのウイルスの拡散を防ぐ陰圧設備がなかったが、現在は全17室に整備。ナースステーションや廊下は防護具なしで過ごせるようになり、担当者は「春の混乱状態と比べ、負担は軽減された」と話す。

 府によると、府内の感染者に占める死者の割合(死亡率)は、第1波(4・9%)、第2波(1・5%)に比べ、第3波は1・0%(11月29日時点)と低下。5月には抗ウイルス薬「レムデシビル」が特例承認され、今は、比較的症状が進んでも効果が期待できるステロイド薬「デキサメタゾン」も厚生労働省に治療薬として承認された。

 大阪市立総合医療センター感染症内科の白野倫徳医長(46)は「知見の積み重ねで薬の選択肢が広がってきた効果だ」と分析する。

 厚生労働省によると、11月30日までの1か月間で、全国約100か所の医療機関で新型コロナウイルスによるクラスター(感染集団)が発生している。都市部に比べて医療体制の弱い地方も深刻な影響を受けており、北海道旭川市では、二つの総合病院で100人単位の大規模クラスターが発生し、通常の診療にも支障が出ている。

 旭川市では11月上旬から総合病院の慶友会吉田病院で感染が広がり始め、4日までに患者や職員ら計173人の感染が確認された。

 11月21日には旭川厚生病院のクラスターが判明。今月5日には、新たに7人の感染が確認され、感染者は計221人に達した。国内最大級のクラスターとなる永寿総合病院(東京都台東区)の214人を上回った。

 旭川厚生病院は市内に五つある、高度な医療を提供する基幹病院の一つ。感染拡大を受け、緊急を除く新規の入院を制限している。

 この影響で、他の基幹病院の市立旭川病院では、転院患者らが増え、症状の軽い患者に外来診療の自粛を求める声明をホームページ上で公開している。

 国などはクラスターが発生した医療機関に対し、災害派遣医療チーム「DMAT」の医師らを派遣するなど、支援を強化している。

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