今年4月から大学生になったことを機に、ジャニーズJr.ユニット「美 少年」の那須雄登と浮所飛貴の二人がメディアへの露出を増やしている。そんな中、7月2日に放送された『ダウンタウンDXDX』(日本テレビ系)の扱われ方が、どうにも気になってしまった。
「美 少年」からは那須と浮所、岩崎大昇が、同じくJr.ユニットの「HiHi Jets」からは猪狩蒼弥と作間龍斗が出演。また、体調不良で欠席となった高橋優斗に代わって、同番組常連のA.B.C-Z・河合郁人が登場し、「もっと売れたい!ジャニーズJr.自己PR合戦!」と題して、美 少年と HiHi Jetsのどちらが今後バラエティで活躍できるのかを競い合った。
しかし、この企画の構成には、見ていて頭痛がしてきた。コーナーの途中まで、話しているメンバーは猪狩と浮所ばかりで、テレビから2人の声しか聞こえていない状態の上、猪狩は自虐ネタができてバラエティに馴染んでいる一方、浮所は明らかに必死で頑張っているものの空回り気味だ。
浮所はグループの魅力として「顔面偏差値の高さ」を挙げ、「ここまでイケメンが揃ったグループはない」「花にたとえると、美 少年は薔薇みたいです。HiHi Jetsは雑草」とコメント。これにはHiHi Jetsファンが怒るだけでなく、美 少年ファンもネット上で苦言を呈していた。しかし、こうした類いの発言を、彼がこれまで一度でもしたことがあっただろうか。
その半面、興奮状態で大きな声を上げたり、唐突にテンションが上がったりする浮所の様子は、「通常営業」の面もある。だからこそ、挑発的な発言やハジケぶりも通常モードの延長だと捉えて、ファンからは「心臓が強い」「元気をくれる!」などという称賛の声もネットに多数上がっていた。
しかし、首に血管を浮き上がらせ、汗をかいて、たくさんしゃべった後にカメラが切り替わる瞬間、「ふぅ」と小さく息をついていた浮所を見て、なんだか気の毒に思えてしまった。
全国ネットのメジャー番組で笑いを取ろうとし、大きな声で話し、グループのことを語るだけでなく、HiHi・作間のエピソードについて補足までする浮所。一生懸命、HiHi Jetsと対立するように挑発的な発言をして、盛り上げようと必死になっているのだろう。それが台本の流れに沿っていることは、ファンの目に明らかだった。
ところで、今回の番組について「HiHiを落とすために美 少年が存在しているわけじゃない」などといった声もあったが、それは逆ではないか。
ファンはともかく、世間はたいてい「ジャニーズっぽくない」とか「苦労してきた」「バック経験が長い」といったエピソードを好む。この日、代理で出演していた河合などは今、出演する番組全てで毎回「俺、これでもジャニーズ」というフレーズを一発ギャグのように使い倒しているくらいだ。そのくらい「ジャニーズっぽくない」自虐は、バラエティ的“安パイ”で、安心安全の守られた道なのだ。
一方の美 少年は、「バックダンサー経験がない」だのと言われ、自ら「顔面偏差値」「薔薇」などと言っている(言わされている、ともいえる)。これは明らかに「悪役」の役割ではないだろうか。
それは、性格の素直さ、純粋さゆえに、言われるまま、聞かれるままに「YOUは特別カッコいいよ、とジャニーさんに言われた」と語ったSexy Zone・佐藤勝利や、Kis-My-Ft2やA.B.C-Zなどの苦労話の引き合いで名前を出され続けたHey!Say!JUMPと同じ「悪役」の道で、美 少年は着実にその道を歩まされつつある気がする。
賢いとはいえ、まだ10代の、それも先生や大人の望むことを真面目にこなす頑張り屋の優等生に、そんな「悪役」を背負わせるのは、滝沢秀明氏の意図なのか、それとも事務所、あるいは番組の意図なのだろうか?
ところで、一生懸命に盛り上げようとしていた浮所の発言に対し、作間の「滝沢さんからはHiHi Jetsのほうが評価されている気がする」は単なる天然に見え、それはそれでハラハラしたけれど……。
(南山ヒロミ)
最終更新:2020/07/06 13:44
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