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Sunday, July 19, 2020

ハードウェア、ソフトウェア、エコシステムの三位一体 ワンストップ開発を牽引するインテルのAI戦略 - 日経テクノロジーオンライン

2020年6月、インテルは第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーをはじめとするデータセンター向け製品群を発表した。ディープラーニング機能を強化したCPU、同社初のAI処理に特化したFPGAといったラインナップからわかるように、“データ中心の時代”に最適化したプラットフォームが主軸だ。一方で現在のインテルはハードウェアのみならず、ソフトウェア/ソリューション、エコシステムを含んだ包括的なAI戦略を標榜している。AI活用が前提となるこれからの社会をどのように支えていくのか。その狙いを製品群の特徴とともに紹介する。

もはや避けて通れない
データセンターのAI活用

産業界を取り巻く環境はデジタルデータ中心の世界へと変貌を遂げ、その勢いはとどまるところを知らない。今後数年を見ても、5Gによるネットワーク変革、分散型のエッジ・コンピューティング、さらなるクラウド化などが加速すると見られている。こうした状況下では、膨大なデータをいかに円滑に収集・分析し、ビジネスの糧とできるかが勝負の分かれ目となる。

分析の頭脳となるのは、言うまでもなくAIだ。データセンター向けアーキテクチャー/プラットフォームで市場をリードするインテルにとっても、AIに注力することは不可欠のテーマである。インテル株式会社 執行役員常務 技術本部 本部長 土岐英秋氏は同社のAI戦略について次のように語る。

インテル株式会社
執行役員常務 技術本部
本部長
⼟岐 英秋 氏

「我々が提供する汎用性の高いデータセンターのテクノロジーを新しい領域に応用したいと考えました。その中で、AIとデータ分析はこれからの10年を決定づけるワークロードと位置づけています。そこでハードウェア、ソフトウェア、エコシステムの3段階で包括的にAIに取り組むビジョンを掲げているのです」(土岐氏)

ハードウェアは主力製品のCPUに加え、FPGA、GPU、ASICも含めた全方位のAIプラットフォームを用意する。これにより「製品群を自在に組み合わせ、多様なAIのワークロードに対して最も効率の良い開発環境」を提供する構えだ。

異なるハードウェアを横断するソフトウェアのインテル® oneAPIは、それぞれの環境に最適化した共通フレームワーク。エンジニアが複数のプログラミング言語やツールを習得せずに済み、開発時の生産性向上、リソースの集中に寄与する。オープンソースゆえ、エンジニアの知見を集約しながら進化する点も特徴となっている。そしてこれらを支えるエコシステムを、OEM各社、AI関連のコミュニティーなどとともに築いていくという。

約2倍のAI性能向上を実現した
第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー

今回発表した製品群は、まさにこうしたビジョンを体現したものだ。中心となるCPUの第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、4-8ソケットに対応。5年前のシステムとの比較で平均1.9倍、同じく5年前のデータベース・システムとの比較で最大1.98倍のパフォーマンス向上を図った。

第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー

AI機能をさらに強化したこともポイントだ。具体的には、統合AIアクセラレーションのインテル® ディープラーニング・ブーストが、新たに浮動小数点フォーマットのBfloat16に対応。土岐氏はBfloat16のメリットをこのように説明する。

「2017年の第1世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは伝統的にディープラーニングで用いられる高精度なFP32、2019年の第2世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、ある程度の精度を保ちながら高速性を重視したINT8をフォローしました。

第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーで採用したBfloat16は、FP32とINT8の長所を併せ持つフォーマットで、FP32と同等の精度を保持しながら高速に演算できる特徴を持っています。事実、FP32との比較では学習のパフォーマンスが最大1.93倍、推論のパフォーマンスが最大1.9倍となりました」(土岐氏)

FP32とINT8の長所を併せ持つBfloat16

2017年の第1世代から“AIアクセラレーションを搭載した唯一のデータセンター向けCPU”として展開してきたインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、さまざまな業界で「AIのワークロード処理に有効との認知が深まっている」(土岐氏)という。ロードマップも順調に推移しており、2020年後半には1-2ソケットに対応した「Ice Lake*」、2021年以降にはマイクロアーキテクチャーを刷新した次世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー「Sapphire Rapids†」が登場予定だ。

2021年までにさらに進化を遂げるインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー

Sapphire Rapids†は1-8ソケットに対応し、インテル® ディープラーニング・ブーストでは拡張機能のAMX(Advanced Matrix Extensions)を実装する予定。すでに試験段階に入っており、今年から来年にかけては怒涛の如きインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーのリリースが続く。

あわせて発表されたインテル® Optane パーシステント・メモリー200シリーズ、インテル® SSD D7-P5500 シリーズ / インテル® SSD D7-P5600 シリーズは、データセンターにおける低レイテンシーと高性能を補佐するデバイス群だ。インテル® Optane パーシステント・メモリー200シリーズはDRAMと3D NAND SSDの間に位置してレイテンシーのギャップを埋め、I/Oのボトルネックを解消する不揮発性メモリー。1ソケットあたり最大4.5TBをサポートするため、4ソケットでは18TBの容量を確保できる。

データ・センターにおける低レイテンシーと高性能を補佐するデバイス群も登場

「第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーと一緒に使うことを前提としています。1世代前のインテル® Optane パーシステント・メモリーと比べると、平均で25%もの帯域幅拡大が可能です。仮にストレージエリアとして使用した場合、主流のNAND SSDに対して最低でも225倍のアクセススピードを誇ります」(土岐氏)

3D NAND SSDのインテル® SSD D7-P5500/P5600 シリーズ(または、インテル® SSD D7-P5500 シリーズ / インテル® SSD D7-P5600 シリーズ)は1世代前の製品との比較で、最大40%の低レイテンシー、最大33%のパフォーマンス向上が図られた。容量はインテル® SSD D7-P5500 シリーズが最大7.68TB、インテル® SSD D7-P5600 シリーズが最大6.4TB。データ・セキュリティーも強化しており、土岐氏は「オールフラッシュ・アレイで高速化するためには最適なフラッシュメモリー」と話す。

前世代比較で最大15倍の処理能力、
インテル初のAI特化型FPGA

FPGAの新製品、インテル® Stratix® 10 NX FPGAはAI関連のもう1つのハイライトだ。インテルとして初めてAIに最適化されたFPGAであり、中軸には高い演算機能を持つAI Tensor ブロックを搭載。ネットワーク、メモリーと一体化することでAIワークロードを加速する。用途としては自然言語処理、サイバー・セキュリティー、リアルタイムの映像解析などを見込む。

インテルとして初めてAIに最適化されたFPGA。中軸には高い演算機能を持つAI Tensor ブロックを搭載している

「従来製品のインテル® Stratix® 10 MX FPGAは汎用的なDSPブロックを採用し、乗算器、アキュームレーターがともに2基の構成でした。AI Tensor ブロックは乗算器、アキュームレーターがそれぞれ30基となり、INT8の演算比較では前世代と比較して最大15倍もの処理能力となります。FPGAにAIを統合したカスタム・ハードウェアであり、AI特化の利用では非常にユニークな製品になっています」(土岐氏)

インテル® Stratix® 10 NX FPGAはすでにマイクロソフトが導入を進めており、「ハイパースケールのAIニーズに対応する柔軟なデバイス」と評価している。だが、マイクロソフトのような先進的な事例は稀であり、現実的にはまだAIに対する企業のハードルは高い。そこで、前述した各種ハードウェアの組み合わせはもちろんのこと、インテル® Select ソリューションというAI導入サポートも充実させている。

「多岐にわたるAIワークロードのソリューションをスクラッチで構築するのはとても時間とコストがかかり、検証も非常に難しいものです。インテル® Select ソリューションは、すでにインテルで検証済みでほかのお客様に展開できるようなソリューションをパッケージの形で提供。運用までの時間を大幅に短縮することができます」(土岐氏)

インテル® Select ソリューション

この言葉にあるように、インテルが目指すのは「限られたユーザーのみが専用機で利用するのではなく、より手軽にAIを活用してもらうこと」だと土岐氏は言う。今回の発表を機に、ハードウェア、ソフトウェア/ソリューション、エコシステムが三位一体となった同社のAI戦略はまた一歩前進したようだ。

※Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Optane、Stratix、Xeonは、アメリカ合衆国および / またはその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標です。
※♰開発コード名

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July 20, 2020 at 12:27PM
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