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Sunday, June 14, 2020

Premiere Proの神アプデで動画のエンコードが4倍速くなる、実機5台でテスト:旅人目線のデジタルレポ 中山智 - Engadget日本版

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旅人(自粛中)ITライターの中山です。以前の記事で、Adobeの「Premiere Pro」のアップデートにより、H.264およびH.265(HEVC)の動画書き出し時に、NVIDIAやAMDのGPUに搭載されているハードウェアエンコード機能が利用できるようになったとレポートしました。

関連記事:Premiere Proの神アプデでZenBook Pro Duoでの動画エンコードがさらに爆速に!:旅人目線のデジタルレポ 中山智

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▲「Premier Pro」のアップデート内容

関連記事のレポートでは、ASUSからお借りしている「ZenBook Pro Duo」でテスト。Premiere Proで編集した7分23秒の動画をH.264へ書き出し(エンコード)してみたところ、プロセッサーのみのソフトウェアエンコードでは3分46秒だったのに対し、ハードウェアエンコードでは1分7秒でした。

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▲ZenBook Pro Duoでエンコードテスト

ZenBook Pro Duoはプロセッサーに8コア16スレッドの「Core i9-9980HK」、ディスクリートGPUに「GeForce RTX 2060」を搭載しています。第10世代のCoreシリーズもリリースされ、搭載PCも登場していますが、まだまだ最強スペックノートPCのひとつ。ソフトウェアエンコードでも3分45秒というのは、かなりの爆速です。

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▲ZenBook Pro Duoのプロセッサーとグラフィックはいまだ最強クラス

【ZenBook Pro Duoでの計測結果】

・ソフトウェアエンコード:3分46秒

・ハードウェアエンコード:1分7秒

そこで気になったのは、「Core i9-9980HK」のようにハイスペックなプロセッサーでなくても、GPUさえ強化すれば同じような効果が得られるのでは? ということ。もし効果があるなら、YouTuberなど動画編集がパソコン使用の主目的の場合、パソコンの選び方が変わるかも。

そこで今回は自前のPCにプラスして下記の機材を各メーカーからお借りし、それぞれ同じテストをしてみました。

【テストした機材】

1.PRESTIGE 14(MSI)
Core i7-10710U/GeForce GTX 1650 Max-Q デザイン

2.MateBook X Pro 2020(HUAWEI)
Core i7-10510U/GeForce MX250

3.ZenBook S(ASUS)+ AORUS RTX 2080 Ti GAMING BOX(GIGABYTE)
Core i5-8250U/GeForce RTX 2080 Ti

4.自作PC + DUAL-RTX2060S-O8G-EVO-V2(ASUS)
Core i7-4770/GeForce RTX 2060 SUPER

【1.PRESTIGE 14(MSI)】

モバイル用のプロセッサーながら第10世代Coreと最新モデルで、しかも6コア12スレッドで動作する「Core i7-10710U」に、GeForce GTX 1650 Max-Q デザインを組み合わせた「PRESTIGE 14」。ZenBook Pro Duoとスペックで比較すると、プロセッサー・GPUともに劣るものの、重量1.29kgとモバイルとして持ち運びが可能なノートPCです。

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▲MSIのPRESTIGE 14(Prestige-14-A10SC-165JP)。直販価格18万6780円(税込)

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▲Max-Qデザインを搭載したPRESTIGE 14

同条件でPremiere Proでのエンコードを行ったところ、下記の結果となりました。

【PRESTIGE 14での計測結果】

・ソフトウェアエンコード:6分25秒

・ハードウェアエンコード:2分29秒

モバイル向けのプロセッサーですが、ソフトウェアエンコードでも実時間を切っています。タスクネージャーで動作をチェックすると、冷却効果も強いようでCPUの使用率や周波数の落ちもあまりなく、マシンスペックをフルに使っていたようです。

またハードウェアエンコードでもZenBook Pro Duoにはかないませんが、実時間の半分以下となっているのでかなりの高速さ。ZenBook Pro Duoは直販価格で51万3150円なので、価格差を考えればコストパフォーマンス的には抜群です。

【2.MateBook X Pro】

「MateBook X Pro」の2020年モデルで、こちらもモバイル向けの第10世代Coreと最新モデル。ただし4コア8スレッドの「Core i7-10510U」を搭載しています。ディスクリートGPUは「GeForce MX250」となっています。

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▲HUAWEIのMateBook X Pro 2020。直販価格26万3780円(税込)

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▲HUAWEIのMateBook X ProのプロセッサーとGPUの組み合わせ

【MateBook X Proでの計測結果】

・ハードウェアエンコード:エラーで使用できず(参考値:20分26秒)

MateBook X Proでテストしてみたところ、Premiere Proでエンコード方式をH.264かHEVC(H.265)を選ぼうとすると、Premiere Proがクラッシュして落ちてしまいます。原因は、搭載しているGeForce MX250がNVIDIAの動画エンコード機能「NVENC」に対応していないためと推測されます。というのも、知人が保有している同プロセッサー、同GPU搭載の「ZenBook Duo」でも同じ症状でクラッシュするのを確認しているためです。

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▲H.264でのハードウェアエンコードを選ぶとクラッシュしてしまう

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▲GeForce MX250はNVENCの対応表がすべてNOに

ただし、デバイスマネージャーで「GeForce MX250」を無効にすると、クラッシュは回避できます。内蔵のIntel UHD Graphicsを使うことになりますが、ハードウェアエンコードも選べクラッシュせずに動作します。その参考値が20分26秒です。タスクネージャーでエンコード中の動作をチェックしてみると、CPU使用率は80%半ば、周波数も1.9GHzくらいで頭打ちだったので、発熱を抑えて制限している感じもします。

GeForce MX250自体がハードウェアエンコードに対応していませんし、やはりビジネスなどの一般的な使い方をターゲットとしているPCの場合は、動画エンコードのようなヘビーな作業は苦手かなという印象です。

【3.ZenBook S + AORUS RTX 2080 Ti GAMING BOX】

PCは1年前に購入した自前の「ZenBook S」で、プロセッサーは第8世代のCore i5-8250U。4コア8スレッドです。ディスクリートGPUは搭載していませんが、インターフェースにThunderbolt 3を搭載しているので、外付けGPUボックスをつなげたらエンコードは速くなるかテストしてみました。

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▲GIGABYTEの「AORUS RTX 2080 Ti GAMING BOX」。実売価格:20万9000円前後

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▲AORUS RTX 2080 Ti GAMING BOXを追加した状態

【ZenBook S + 外付けGPUボックスの計測結果】

・外付けGPUボックスなしのハードウェアエンコード:21分24秒

・外付けGPUボックスありのハードウェアエンコード:5分16秒

こちらは外付けGPUボックスありのほうが、約4倍も速くなって実時間以下に。ZenBook Pro Duoと比べるとGPUのランク的には物足りないので、設定次第ではもう少し速くなるかもですが、ミッドレンジクラスのモバイル用PCでこれだけエンコードが速くなるなら満足です。

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▲Thunderbolt 3で外付けGPUボックスを接続

【4.自作PC + DUAL-RTX2060S-O8G-EVO-V2】

こちらは半年ほど前までメインとして使っていた自作デスクトップPCで、プロセッサーは第4世代のCore i7-4770。4コア8スレッドです。実は半年ほど前まではあまり動画編集やPCゲームなどをしていなかったため、グラフィック性能にはこだわりがなく、内蔵グラフィックで動作させていました。

すでに6年ほど使い続けているこの自作PCも、グラフィックボードを増設すれば、Premier Proでのエンコードは速くなるのか? ASUSの「DUAL-RTX2060S-O8G-EVO-V2」を装着してテストしてみました。

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▲ASUSの「DUAL-RTX2060S-O8G-EVO-V2」を使用。実売価格:6万500円前後

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▲「自作なのに今までグラボ搭載してなかったのかよ」という批判は甘んじて受けます

【第4世代Core i7 + グラフィックボード計測結果】

・グラボありハードウェアエンコード:25分51秒

・グラボなしハードウェアエンコード:3分9秒

こちらもグラフィックボードを搭載することで、爆速となりました。ただグラボなしでの計測時は、CPUの使用率や周波数があまり上がっていなかったので、6年間の使い込みで熱処理が上手くいってないのかも。

ですがグラボを追加するだけで3分台なら優秀です。設定次第ではもうちょっと速くなりそう。パソコンをまるっと買い換えるよりは、性能の良いグラボを追加する方が、コストパフォーマンスは高そうです。

以上がテスト結果です。AdobeのPremiere Proってモザイクや4K表示などの処理は別として、編集作業自体はモバイル用や世代の古いプロセッサーでも結構いけるんですよね。ただネックとなるのがエンコード時間。それがPremiere Proのアップデートで、PCのスペックによってかなり変わるということがわかりました。

そこで、動画編集をメインの目的としてPC購入を考えている人は

  1. プロセッサーも重要だけど、それよりもGPUに注目。「GeForce GTX 1650 Max-Q デザイン」などH.264、HEVC(H.265)のハードウェアエンコード機能を搭載したGPU搭載モデルを選ぶ。ただしGeForce MXシリーズは非対応なので注意。

  2. ハイスペックなクリエイター向けPCは大きいため、コンパクトなモバイルPCが欲しい場合は、インターフェースにThunderbolt 3を搭載しているモデルを選ぶ。外付けGPUボックスを用意して、外出中は編集作業だけにし帰宅したら外付けGPUボックスをつなげてエンコードという方法で効率アップが狙える。

  3. 自作PCやデスクトップPCの場合は、グラフィックボードを搭載したりアップグレードすればエンコード時間を早くできる。

といったあたりに注意すればオーケーかと思います。動画編集用のPCというと、これまでプロセッサーのランクが注目されていましたが、GPU性能に比重を置いて選んだ方が良い感じです。

ちなみによく考えずに機材手配をしたため、NVIDIA製品ばかりになってしまいましたが他意はありません。AMDの「Radeonシリーズ」にも同様にハードウェアエンコード機能が搭載されており、Premiere Proも対応しているので、同様の効果は期待できそうです。

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▲AMDのGPUにも同様の機能が用意されている

もし要望がありましたら、機材を手配してテストしてみますので!

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June 15, 2020 at 09:17AM
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