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Monday, May 18, 2020

ちょっとやりすぎっ! 2千円台の本格ネットカメラ「ATOM Cam」が製品版で超進化!!! - INTERNET Watch

ただでさえ格安の「ATOM Cam」、謎のサービス精神でさらに進化……

例によって、いろいろ向きが変えられる

 クラウドファンディングで「1台約2000円」という低価格の本格ネットカメラとして登場、めでたく目標を大きく上回って支援額を達成した「ATOM Cam」が、いよいよ正式販売を開始する。

 クラウドファンディング支援者には一足早く製品が届いており、一般向けには5月20日から1台2500円(税込・送料別*1)という相変わらず戦略的な価格で提供されるようだ。

 以前本誌で開発途中の同製品をレビューした通り、ATOM Camは自由度の高い設置方法、フルHDの解像度、鮮明な画質、暗所の監視も可能なナイトビジョン、エリア指定も可能な動作検知や音声検知などなど、その時点ですでに価格に似つかわしくない機能・性能を誇っていた。

 しかし、クラウドファンディングが成功したことで開発者がずいぶん頑張りすぎてしまったようだ(笑。

 発売される製品版は、画質や使い勝手など基本性能が一段とアップしたのに加え、予定通りの「スマートスピーカー対応(名前を呼んで表示)」も実装。さらに、クラウドファンディング中に、要望として寄せられたPC・Macへの対応や、監視カメラの連携規格であるONVIF規格もサポート。

 もともと値ごろ感のある製品だったが、格段にブラッシュアップされた結果、さらに別物のような製品となってしまった。いくらなんでもサービス精神旺盛すぎでは……。

 発売前からさっそく生まれ変わってしまったATOM Camがどんな進化を遂げ、どんな風に使えるようになったのか、製品版と同等のものをお借りできたので、確かめてみることにしよう。

*1 Amazonでの販売も検討中とのことだが、価格は税込み・送料込みの金額になるため表示価格が違うそう。送料にもよるが、一気にたくさん買うなら直販で買うのがいいようだ。

ハードウェアも「日本仕様」になり高画質化

ちょっとおしゃれになったパッケージ
同梱物は本体、両面テープ、金属板のほか、USBフラットケーブルと充電用ACアダプター

 製品版のATOM Camでは、そうした開発版での基本コンセプトを引き継ぎつつ、さらにハードウェアまで変更され、中身もほぼオリジナルのものとなった。

 今後の機能アップを見越してCPUも高性能な1.5GHz駆動のものに変わったほか、カメラそのものもグレードアップ。撮影範囲がさらに広くなった(視野角110度から130度に大幅拡大)ほか、高感度CMOSセンサーを採用したことで感度も向上。月明かり程度でもはっきり見えるレベルに改善されているという。

製品化にあたって中身をごっそり変えたのだとか(開発版と製品版を分解比較した画像はこの記事の最後に)
付属の金属板の中央にはネジ用の穴が。穴のサイズは直径4.5mmほどで、M3の皿木ネジがちょうどいい感じにはまる

 また、細かいところでは、固定場所に応じて使う付属の金属板のデザインが変わり、中央に穴が設けられた(ちょっとおしゃれなロゴがデザインされているのもニクい)。

 この穴は、金属板をネジで固定できるようにするためのもの。通常は両面テープを貼り付けて使う金属板だが、ネジで固定すれば、接着しにくい壁にもしっかり設置できるようになる(ネジは別途必要)。設置場所の自由度はこれでさらに高まるだろう。

金属板をネジで板に固定してみた。ちょっとやそっとでは外れない
ATOM Cam本体もこのとおり、バッチリ設置

 また、ユーザーがよく目にすることになる専用のスマートフォンアプリも、より親しみやすいインターフェースにガラリと変わった。

 製品版で初めて利用する普通のユーザーには関係ない部分だが、一度試用した身からすると実は結構感心した部分。フットワーク軽く、より良いものを躊躇なく取り入れていく開発姿勢は、今後の継続的なアップデートにも期待がもてる。

インターフェースが一新されたスマートフォンアプリ(iOS版)
初期設定は「専用QRコードをスマホで表示、カメラで読み取り」
USBケーブルをつないで、電源がオンになっている状態で本体の「SETUP」ボタンを押す

 そんなわけで、まずは大きく進化した画質をチェックしてみたい。

 参考までに開発版だったときの映像と、製品版の映像を比較できるようにしてみた。

 なお、セットアップは相変わらず簡単。このあたりのスムーズさは従来通りだ。

1.スマートフォンの専用アプリに、必要なWi-Fi設定などを入力する
2.SSIDなどがコード化されたQRコードがスマートフォンに表示される
3.QRコードをATOM Camに読み取らせる

アプリ上で自宅Wi-Fiのアクセスポイント名とパスワードを入力。なお、カメラ本体が対応するWi-Fiは2.4GHz帯のみで、5GHz帯には接続できないので注意したい。
QRコードが表示されるので、その画面をATOM Camで読み取る
読み取っている様子
画質は向上、視野角も拡大
製品版の映像(筆者自宅リビング)
こちらは開発版の映像

 これを見るとすぐわかるように、全体的な明るさ、色合いがより自然な見栄えになった。

 精細さが圧倒的に向上し、メリハリが薄くのっぺりしていたところも細部までくっきりしている。視野角は特に左右方向に拡大され、(左端を基準に合わせたこの画像の例では)右端の扉のほぼ全体が見えるようになったほか、上下方向も少し広がったようだ。

 その分、映像の両端に行くほど魚眼風に歪みが大きくなっているが、主な用途が「監視」なのだから、むしろ視野角は広ければ広いほどメリットがあるだろう。

 ナイトビジョンの方は以前はあったブロックノイズが完全に消え、モノクロ画像ながらきめ細かく描写している。人の表情までは読み取るのが難しかったところも、製品版ではじっくり観察できるほど(怪しげな人物が大事なアイスバーを奪い、かじっているのがよくわかる)。視野角が広がったため、部屋の隅で悪事を働いていても映像に終始その姿を収められるだろう。

製品版の映像(ナイトビジョン)
こちらは開発版の映像
CMOSセンサーは高感度、夜間もキレイ

 なお、せっかく「高感度CMOSセンサーで画質が向上した」とのことなので、スマートフォンと比べた場合の画質がどうなのか、深夜に撮影した映像をiPhone SE(初代)と比べてみた。せっかくなので、ナイトビジョンでも撮影したので、その違いもみてほしい。

【iPhone SE(初代)で撮影したもの(深夜)】

【ATOM Camで撮影したもの(深夜)】

【ATOM Camのナイトビジョンで撮影したもの(深夜)】

複数台の同時利用もOK

 開発版でもそうだったように、製品版でもATOM Camの映像を同時に4台まで見ることができる。

 たとえば自宅の各部屋に設置している場合は、それぞれの様子を一度に確認できるので、帰宅した家族の行動に合わせて、音声通話の機能を使ってリモートから「お帰りなさい」の言葉をかけられたりする。万一怪しい侵入者があったときは、その姿を追跡するのもたやすい。

4つのカメラの画面を同時に閲覧可能。5台目以降を見ようとしたときは、すでに再生中のカメラの映像が停止状態になる。なお、開発版アプリでは「複数カメラを一括管理する」という機能があったが、操作が複雑だと判断されたのか、今回テストした製品版アプリでは実装されていなかった
プレビューを大きく表示したモード
4台の映像をマトリックス状に並べられる
microSDを利用した常時録画、動作・音声検出によるクラウド録画が可能

 先述した通り、ATOM CamにはmicroSDカードへの常時録画機能と、動作・音声検知時に十数秒間の映像をクラウドに自動録画する機能がある。

 なので、不在時にカメラの前で何かがあったときは(何もなかったとしても)逃さず映像化してくれる。常時録画についてはmicroSDカードの容量が許すまで、検知時の自動録画については14日間分まで映像を残すことができ、気になったらいつでも振り返ることが可能。

 高画質化と視野角の拡大は、そうした監視・防犯の機能を一段と強化するのに貢献していることは間違いない。

常時録画している映像は巻き戻して閲覧できる
動作・音声検知時の自動録画映像もいつでもチェック可能
検知すると録画が12秒ほど行われ、その後スマートフォンに通知される仕組みだ
タイムラプス映像も作成可能

 もう1つ面白いのが、タイムラプス動画作成機能だ。

 これは、microSDカードに常時録画している映像を元に、指定した時間帯について、任意の再生速度の早送り動画を生成できるというもの。どちらかというと、長期間にわたる風景や人の動きを短時間にぎゅっと圧縮して、その様子を楽しむためのもの、という目的がメインになるだろうか。栽培している植物がすくすくと育っていく記録を残すのにも便利そうだ。

タイムラプス動画の作成機能。手動で開始・停止させてライブ映像をタイムラプス化できる
もしくは現時点から指定した時刻までを対象に生成することも可能
植物などの育成を見守るのにも活用できる
ATOM Camは屋内用のため屋外で使用するときは注意が必要。これはビニール袋に入れて、モバイルバッテリーを使って椎茸原木を無理矢理撮影しているところ

【ATOM Camでタイムラプス撮影(1)】

タイムラプス動画の例1(1分間隔で撮影した空の様子)

【ATOM Camでタイムラプス撮影(2)】

タイムラプス動画の例2(椎茸原木から椎茸が生えてくる様子を捉えようと思ったら生えてこなかった様子)

新たに追加された「スマートスピーカー対応」と「PC・Mac対応」

 製品版で新たに追加された機能も多い。

 ここでは、画面付きスマートディスプレイとの連携と、PC・Macでの映像確認機能を紹介しよう。

画面付きスマートスピーカーで「カメラを呼んで映像確認」
Amazon Echo Show

 まず、スマートディスプレイとの連携機能は、呼びかけるだけでカメラの映像を画面に表示できる、というものだ。現時点での対応製品はAmazon Echo Showなどで、対応アプリ(アクション)の承認が下り次第、Google Nest Hubでも利用可能になるとのこと。

 たとえばEcho Showでは「アレクサ、リビングのカメラを見せて」としゃべることで、「リビング」と名前を付けているATOM Camのリアルタイム映像(遅延は数秒程度とやや大きいようだ)を映し出してくれる。

「○○のカメラを見せて」と話しかけると、カメラの映像を読み込み始める
スマートディスプレイの画面にATOM Camの映像が表示された
Echo ShowでATOM Camの映像を見たいときは「ATOM」というスキルを有効にする

 これを上手に活用すれば、監視カメラとしての利便性はさらに高まりそう。

 料理中など手が離せないときに玄関のインターフォンが鳴った場合でも、玄関先の様子を監視しているATOM Camがあれば、即座にその映像を見て重要な来客かどうかを確かめられる。あるいは、就寝時にベッド脇に置いたスマートディスプレイで、玄関ドアの施錠状態がわかる映像を呼び出し、戸締まりのし忘れがないか確認する、といった使い方もできるだろう。

PCやMacのアプリも追加、映像確認などが可能
macOS版のアプリ。カメラ1台1台を指定して映像確認できる。今のところはおまけ的な扱いで、将来的に機能が追加される可能性はある

 そして、PCからの映像確認手段も新たに用意された。

 用意されたのはWindowsとmacOSのアプリーケーションで、今のところ「おまけ機能」的な扱い、かつ「β版」だが、設置しているカメラの映像を1台ずつチェックできる。

 また、監視カメラの連携規格であるONVIF(Open Network Video Interface Forum)対応機能も開発中。ONVIFに対応することで、ONVIF対応のNAS(実は結構ある)などと組み合わせて利用できるので、監視システムをよりリーズナブルに構築できると思われる。

絶対にお買い得&将来も楽しみな1台

とにかくたくさん並べてみた。なんとなく、こういう遊びをしてみたくなる製品だ。

 その他、今後の開発計画も明らかになっている。

 明かされているのは、録画データをLAN内のNASや、Google ドライブ、Dropboxなどのクラウドストレージに直接保存する機能や、自動化ツール「IFTTT」への対応、スマートホームのプラットフォームである「Apple HomeKit」への対応など。

 IFTTTやHomeKitに対応することでどんなことが可能になるのかは未知数だが、「ATOM Camで動作を検知したら他のスマートホーム機器を動作させる」「複数の機器を協調動作させる」などができると、より進んだスマートなライフスタイルが実現できそうだ。価格が安い製品なだけに、「もう1台、2台」と買い増して応用していくのもやりやすいだろう。

 そうした追加の機能がなくても、すでに現状のままで十分にコストパフォーマンスが高すぎるATOM Cam。

 4台購入しても「ほぼ1万円」で済むわけで、死角をなくす徹底した防犯対策を最小限のコストで実現できる。離れたところにある実家に設置、両親といつでも連絡を取れるようにするのもいいし、目の保養としてアクアリウムを定点観測するのも便利そう。あらゆる使い道で見事に期待に応えてくれる、活用しがいのあるアイテムだ。

【分解してみた~監視カメラの基板、知ってます?~】

 ATOM Camは、そもそも「米国で発売されているネットワークカメラのハードウェアをベースに、アプリ・ファームウェア・通信先となるサーバー(AWS)の場所などを日本向けに作りこむ」(アトムテック)として企画・開発された製品。しかし、結局、「作りこみすぎて、パーツや基板などのハードウェアも独自仕様に変更。“外見以外は別物”になってしまった」(アトムテック)そう。

 せっかくなので、開発版(=米国で市販販売されているモデルと同等)とアトムテックが発売する製品版を比較してみた。

 あまりなじみがないだろう「監視カメラの中身」を確認する意味も含め、ご確認いただければ幸いだ。

※注意
分解するとメーカー保証の対象外となるほか、元に戻して再び動作させたときに電波法に抵触する場合があります。

(協力:アトムテック)

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May 19, 2020 at 05:31AM
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